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有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)・細胞内有機化学反応・データ駆動型マルチパラメータスクリーニング・位置選択的重水素化法

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年1月号がオンラインで公開されています。

5件の総合論文に加え、井改先生(名大)の「MyPR」、神川先生(大阪公立大)の「感動の瞬間」が掲載されています。

会員の方は、それぞれの画像をクリックすると、J-STAGEを通じてすべて閲覧できます。

巻頭言:埋もれた研究データの新たな価値 [オープンアクセス]

今月号の巻頭言は、東京科学大学生命理工学院 金原 数 教授による寄稿記事です。

有機合成でも公表に至らない現象・知見は多数あるかと思います。そのような「人間が理解・体系化できない」ような事象にこそ新しい価値があるのかもしれません。

極性転換戦略を活用したエナミン類縁体の化学

武田紀彦*、宮田興子、上田昌史*(神戸薬科大学)

極性転換反応は、通常の化学的振る舞いを逆転させ、求電子的な官能基を求核的に、あるいは求核的な官能基を求電子的に作用させる反応です。本論文では、著者らが精力的に研究されている、エナミン誘導体の極性転換反応の数々が紹介されています。いずれの反応においても、著者らの反応設計や開発指針、反応機構が明確に示されていて、とても勉強になる総合論文です。実験テクニックが書かれたコラムも必見です!

迅速脱水縮合剤2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)を用いたエステル化反応の速度論的機構解析および生命科学分野への応用

椎名 勇*、髙林奈央、村田貴嗣*(東京理科大学理学部第一部応用化学科)

2024年度有機合成化学協会賞(学術的なもの)受賞

脱水縮合反応は有機合成で広く利用される一方、詳細な速度論解析や反応機構、水の影響に関する研究は十分に行われていません。本論文では、著者らが開発した迅速脱水縮合剤2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)を用いたエステル化反応の速度論的・機構的解析、水の影響の実験的検証、生命科学分野への応用例を紹介します。脱水縮合反応の理解を深めたい方におすすめです。

がんで発生するアクロレインとの細胞内有機化学反応による医療展開

Ambara R. Pradipta1*、高橋ゆりあ1、寺島一輝1、大出雄大2、田中克典1,2*1東京科学大学物質理工学院応用化学系、2理化学研究所開拓研究所田中生体機能合成化学研究室)

「薬物送達システム(Drug Delivery System, DDS)」とは、単独では毒性が高く投与が困難な医薬品を、標的組織へ選択的に送達することで副作用を低減する技術である。一方、近年注目を集めている新たな概念として、薬物そのものを標的組織内で合成する「生体内合成治療法(in situ drug synthesis)」 がある。本概念を提唱し、その最前線を切り拓いてきたAmbara先生および田中克典先生による、アクロレインをトリガーとした生体内合成化学の研究が、本稿で詳しく紹介されている。

フロー・電解合成反応条件探索効率化を志向したデータ駆動型マルチパラメータスクリーニング

近藤 健1*Mohamed S. H. Salem2*、滝澤 忍2*(1静岡県立大学薬学部、2大阪大学産業科学研究所)

本論文は、有機合成の分野におけるデータ駆動型マルチパラメータスクリーニングの研究として、ガウス過程回帰やベイズ最適化を用い、フロー・電解合成の最適条件を効率的に導く手法を紹介しています。機械学習にあまり馴染みのない有機合成化学者にも分かりやすく解説されており、これから本手法を学び、研究に活用したい方におすすめの一報です。

重医薬品開発を指向した位置選択的重水素化法

澤間善成*(大阪大学大学院薬学研究科)

これまで標識実験や反応速度論で重要な役割を果たしてきた重水素(D)は、近年、医薬に応用されることで新しいモダリティを切り開いています。重医薬品(ヘビードラッグ)開発に欠かせない最新の重水素化・重アルキル化反応を、その歴史も交えて第一線の合成化学者が解説します。

Review de Debut

今月号のReview de Debutは1件です。オープンアクセスです。

・Direct-to-Biologyアプローチに基づく創薬研究の加速(Albert Einstein College of Medicine(米国))中根啓太

Message from Young Principal Researcher (MyPR):自分のスタイルを大切に、行き詰まれば盤上に奇手を打つ![オープンアクセス]

今月号のMyPRは、名古屋大学大学院工学研究科 井改知幸 教授による寄稿記事です。

ここでは詳しく触れませんが、健康には気をつけようと改めて思い直しました…

感動の瞬間:らせんが重なる時:多重ヘリセンとの邂逅[オープンアクセス]

今月号の感動の瞬間は、大阪公立大学大学院理学研究科 神川 憲 教授による寄稿記事です。

「これはと思う研究は,諦めず手を替え品を変えて何度もトライしてみる!」というメッセージにとても共感しました。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズをご参照ください。

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大学教員→企業研究者。自分の知らない化学に触れ、学び、楽しみ続けたいです。

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